2024年02月19日
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三百字小説『挑戦者は超戦車』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 無差別バトル大会は大詰めだった。

 司会者がマイクに叫んだ。

 「このままでは奴隷戦士アックスが勝ってしまうぞ。他に飛び入りの挑戦者はいないのか?」

 「このバトルは無差別なんだろうな」と誰かが言った。

 「無差別です。個人で買える武器なら何でも持ち込み可ですよ。銃だって戦闘機だって宇宙戦艦だって持ち込み可です。ただし買えればの話ですけどね」

 「じゃあ。俺の私物で参戦する!」

 いきなり、会場に最新鋭重戦車ビッグ・タイガーが乱入した。

 「あれは、個人では買えないはず! どんなトリックで私有しているんだ!」と司会者が叫んだ。

 いきなり奴隷戦士アックスは手に持った斧で重戦車を真っ二つに切った。

 ただのハリボテだった。

(遠野秋彦・作 ©2024 TOHNO, Akihiko)

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